2011/04/19

女川 ベイ・ブルース

今回車で連れて行ってくれた映画「鉄コン筋クリート」の監督マイケル・アリアスさん。ありがとうございます!
家から30mくらいの場所の祖父母の家。かたちが無い。
町の様子。これでも随分片づいたそうです。
女川の同級生の友人たち。真ん中の友人は全て流されたため衣服すら自分の物ではないそうです。


土日で実家のある宮城県は女川町に帰省。
女川町は今回の地震でもっとも被害を受けた地域の1つ。
ですが、震災の被害は不思議とそんなにメディアでは報道されておりません。

女川には原子力発電所があります。
被害が放送されなかった理由とは関係ないと良いけれど。


「壊滅的」という報道のみが震災直後にはありましたが、
それは本当にすごいものでした。
実際に女川町に行くと、その目に入ってくるものは
写真やTVで見た光景とはほど遠いものでした。

写真や動画みたいに切り取れない。
枠に収まりきれないほどの瓦礫の山が延々と続きます。
これは説明しても実際に見ないとイメージしづらいものがあります。

地元の友人と10年ぶりぐらいで会い、話をしてきました。
想像を絶する状況を笑いに変えてふざけながら話してくれました。
そいつは家がなくなっているのにも関わらずです。
津波にのまれた話は本当に衝撃的でした。
映画タイタニックのように浮かぶ瓦礫につかまって海に流されて1日を過ごし、
上空を飛ぶヘリに「助けて!」と訴えても気づかれず、
それでも波にゆられて海岸にたどり着くまであきらめなかったそうです。

その話を、同じように被災地にいる友人が横で
ギターでブルース進行を弾きながら茶化したりして笑い合っている。

そんな状況を体験して、それでも笑って生活している。
オレはその友人を本当にカッコイイと思うし尊敬します。

被災地がそんな風に笑っているのに東京で、「不謹慎」とか言ってる人もいる。
それって違うなあと思いました。

また、個人の依頼で海に潜って遺体がいるかを探すという仕事をしている友人は、
「明日は遺体見つからなければいいなぁ。見たくないな」とぼやいておりました。
でも「今日は1万円が海の底にあったハンドバッグから見つかって拾った」と言っていて、
オレはそれに対して「そのくらいの金額ならこんな状況だし盗ってもバチはあたらない」と告げると、
その友人は「いや、オレはもしそれが100万円だったとしても迷わず盗るけどね」
とすぐさま返してきたときに唖然としました。それが現実です。
このことばに被災地で生活する人間のリアルが詰まっていると思います。

車で片道10時間の長旅で、東京帰ってきたら疲れてすぐに寝てしまいました。
起きると友人から1通のメールが届いてました。
-以下メール転載-

++++++++
今思い付いたんだけど応援ソング的なものを作れない?
そしたら俺らはそれをみんなに広めていくよ。

今はまだ被災地は世界が注目してるから広められればうれしくない?
ゴメスも女川も。

日々新聞にワシントンポストが来たり、
コバルトーレ女川ってサッカーチームに
リバプールが募金をはじめてたり、
おんまえや(※1)をテレビ局が一年追いますって言ってたり。
奇跡がそこらじゅうにあるよ。
泣ける、笑える、乗れる歌を。    
女川を本気で良くしようとする人達に届けるよ!

++++++++
※1 おんまえやは同級生の家が経営する町に唯一あったスーパー。

正直びっくりしました。
応援ソングって、被災地に居ない人が、偽善で売名行為で、
金儲けのために親切の押し売りみたいなイメージがあったから、
オレは地震頑張れ的な曲を作る人は、
被災地の気持ちをないがしろにしているような気すらしていました。

でも、友人からこんなメールが来て、考えが変わりました。
オレは震災支援の曲を作ることにします。
それをかつてオレが偽善とか売名行為とか金儲けとかだと感じたように、
悪くくみ取る人はそうすればいい。
なんと言われても、オレは女川の友人、女川に住む人、
女川に関係する人の為にだけの曲を作ります。

そして、今回帰った被災地の状況を東京の人にも伝えたいと思いました。
4/29のWonderful Eggで、みんなに少しでも話せればと思います。

HOPE.