2015/12/09

British Outdoors



昨晩引っ越してきた街の古着屋さんに行ってきた。
長い商店街の脇道にあるお店。
何度かそのあたりを通ったけど、一度しか見てないから、そこに古着屋さんなんて無くて、この場所にあった気がするだけで、思い込みだったのかと思っていたのだけれど、昨晩は手描きの看板まであって、確かにその場所にその古着屋さんは存在していた。

折角だから入ってみようと思って入ってみることにした。
北国ではもう雪が降っているとメールで聞いたけど、2015年12月の東京もだいぶ寒くなってきたので、今年は何か暖かいコートでも欲しいと思っていたし、何かあればいいなぁと淡い期待のみを持ってドアの向こうへ。

中には50後半から60歳前後のおじさんが居て、左側が男性もの、右側が女性ものという一目瞭然のことを丁寧に教えてくれた。
愛想笑いと会釈もそこそこに奥のアウターコーナーを物色すると、紺色の少し大きめの濃紺のウールのシンプルなコートがあった。これ結構いいなぁと思ったけど、フリースやらダウンやらヒートテックに慣れきった現在人には、すこしだけずっしりときて重い気がしてハンガーを取ることもなく、ずらしてみただけで元の場所に戻す。

結局、そのコート意外には欲しい物が見つからず、店を出ようとしたときにお店のおじさんが話しかけてきた。
「うちにくるの初めてだよね?」

そこからおじさんがどこに住んでるとか、出身とか、他の店もやってて、この店は夜7時以降しかあけない道楽みたいな店だとか、東北が好きだとか。仙台に行ったらグリーンホテルの朝のビュッフェが楽しみだとか、もうすぐ年金暮らしだとか、30分くらい話し込んだ。というか一方的に話を聞かされていた。でも、年も年だし、何だかかわいらしい感じのおじさんで、全く憎めないし好感を持った。

でも、30分も話を一方的に聞かされて、そのまま帰るのも何だかしゃくだなぁと思い、例の濃紺のウールのコートを着させてもらうことにした。どうせ重いから買わないけどと思いながら袖を通した。

すると、不思議とそんなに重くないし、とても暖かい。鏡で見てもサイズもちょうどいい。今風の腕周りが細かったりしない、昔ながらの普通のコート。タグにはmade in Englandと書いてあった。60年代のものだそう。

で、またおじさんの話が始まり、今度はこの辺に住んでるならあそこのスーパーが夜1時まで開いてるとか、服とは一切関係のない話が始まってしまった。


で、そのコートは今、我が家にある。
おまけに頂いた、クリスマスのアメリカ製のグリーディングカード、とカナダ製のレザーの小物入れと一緒に。

今年はこれをたくさん着ようと思う。